閑話:正装パーティ
閑話:正装パーティ
▼コテージ近くの砂浜
島に来てから幾日か経ち、目覚ましのアラームや街の雑踏で起こされることもない静かな朝を今日も迎える。
空は青く澄み、夏本番を迎える前の日差しはまだ柔らかく、潮風が心地よい。そんな青空の下、螺河鳴姫の声が響く。
螺河鳴姫
「はーい、皆もうちょっと中央に寄って。栂木ちゃんはちょっとだけ
屈んで…才羅ちゃん、目線反らさないの。外神ちゃん、逃げないで
くれよ。後ろの人は台にのって、前の人はちょっとしんどいけど
中腰がんばってね」
絶好の写真日和だと、カメラを構え楽し気にコテージのドアを開いた鳴姫の行動は早かった。
朝食を済ませ暇をしている各自はそれぞれ違う場所にいたのに、あっと言う間に人を集めさくっと撮影準備を進める表情は生き生きとしている。
良田アリス
「可愛く撮ってね、帰ったらパパに見せてあげるから!」
物造白兎
「次はフォトフレームを作るのもありなのです」
御透ミシュカ
「それじゃ私はガラスのフレームを作ってみよっかな」
君野大翔
「写真を入れて飾るのが楽しみだね」
大鳥外神
桜春もち
アヴェル
「しゃ、写真とかはほら、若い子が記念に残すものであって、私みたいな
おじさんがするものじゃ…あっあっあっ、ち、近づかないで、ほんと
限界だから…!」
「大丈夫ですよ~もっちゃん朝シャン派ですからきれいきれいです!」
「そういう問題なのかしら…」
音切おとり
雨土筆らぶり
姫宮蝶子
沙梛百合籠
「ちょっと、沙梛さん寝ないでください…。
そして私の頭を枕にしないでください」
「ふぁ…ごめんなさいね、眠くって…」
「僕もねむーい…学校がないからって夜更かししちゃったァ…」
「夜更かしは美容と健康の大敵ですよ!」
芍薬ベラ
大賭清一
栂木椎名
角沢才羅
「なんでわざわざ海の傍まで連れてこられたんだ…」
「せっかく海がきれいな島だし、背景にしたかったんだって」
「オレには朝日が眩しいねぇ…染みる…」
「らーちゃんは朝日を浴びる方が元気になるの!」
各々が話ながらもなんとかフレーム内に収まり、タイマーを仕掛けて螺河もそこに並ぶ。
螺河鳴姫
「はい、チーズ!」
小気味よいシャッター音が幾度か鳴り、少しばかり気取って背伸びしていた気持ちが和らぎ力が抜ける。写真を残す瞬間は、いつだってその時最高の顔でありたいものだ。
芍薬ベラ
「上手く撮れたなのー?」
螺河鳴姫
「おつかれさま。みんなバッチリだと思うよ!」
物造白兎
「すげぇジンコー密度です。」
大鳥外神
「(とんでもないスピードで離れていく)」
音切おとり
「緊張したなァ…ま、お面じゃわかんないけどね~」
さて何をしようかと解散しかけた時、ふらりとやってきたのはモノボウズだった。
モノボウズ
「皆さまお集まりのようで、丁度よかった。
今日はこちらの招待状をお持ちしました」
モノボウズは丁寧な装飾のされた手紙を差し出す。そこには島の中央を示す地図と、日時が記されていた。
モノボウズ
「遅ればせながら、皆様の歓迎パーティをご用意させていただきました。
本日の夜、島中央部の【講堂】にて行います。
講堂は島の中央に見えるレインツリーを目印にされると良いでしょう」
モノボウズ
「軽いお食事会程度のものではありますが、細やかながら私共からの
お祝いでございます」
モノボウズ
「ドレスやスーツなど正装もご用意しております。講堂内にてセッティング
ルームとスタッフを設けましたので、ご自由にご利用ください。
強制参加ではありませんので、お気軽にご参加ください」
良田アリス
「パーティ?とっても素敵!アリス、お姫様のドレス着たい!!」
角沢才羅
物造白兎
「……パーティ、か。……」(招待状を眺めている)
「パーティ...あるって知ってたらウサギも準備手伝いたかったです。」
螺河鳴姫
「折角セッティングしてくれたんだ。ありがたく出席させてもらうさ。」
それぞれの手には招待状が1枚。歓迎パーティとなれば御馳走も出るだろうし、普段着ない服に興味がある者もいるだろう。
島の中央を向けば、青々とした巨大なレインツリーが風を受けて凪いでいた。
▼講堂
日が沈むあたりが薄暗くなって来たころ、講堂周りにはライトが置かれ、中から暖かな光が零れていた。
大広間へ案内されると、ふかふかの絨毯に美しい花や装飾品で部屋が彩られ、机の上には御馳走が並んでいる。ビュッフェ形式らしく、スタッフ役のモノボウズ達が給仕のためにせっせと飛んでいた。
音切おとり
「へへ~せっかくだしおめかししてきちゃったァ」
アヴェル
「赤はやっぱりいいわね。私の色よ」
御透ミシュカ
芍薬ベラ
「………(スッ…とでてきた)」
「ちょっと大人びてみたなのー!」
螺河鳴姫
「ヘアメイクまでボウズちゃんにされるがままでさ。
気合い入りすぎ…かな…。」
雨土筆らぶり
「ふふ…こういうパーティって久々かも。」
大賭清一
「とりあえず着替えたがこれで良いのか?」
君野大翔
「正装なんて久しぶりだなあ……いつだったかの試写会以来かな?」
大鳥外神
「スーツ……授賞式以来か……?」
良田アリス
「みてみて~アリス、お姫様みたいにかわいいでしょ!」
姫宮蝶子
「思ったよりも気軽なパーティですね…」
物造白兎
「時間かかったけどそこそこです!...正装和服のが動きやすいですね」
沙梛百合籠
「わたしったら、すっかり遅刻してしまったわ。
選ぶのにすごく時間がかかったのだけど……どう?似合っているかしら?」
栂木椎名
物造白兎
芍薬ベラ
「みんな可愛いなのー!」
「わ、みんな可愛いしイケてんやがるです」
「うっかりだ!仮眠を取っていたらこのザマだよ!
あぁ、もう、大遅刻じゃないか!」(息を切らして会場入り)
モノボウズ
「皆さま、お楽しみいただいているようでなにより。
ここで一つ、余興程度ですが【ビンゴゲーム】をご用意しました」
モノボウズ
「お食事だけというのももの寂しいものですし、参加されたい方は
こちらでシートをお配りしますね」
雨土筆らぶり
「ビンゴ……?うふふ!いいですね!
なんだかんだわたし初めてです、そういうの!」
君野大翔
「こういういのはあんまりやったことないなあ」
芍薬ベラ
「ビンゴ大会は久々なのー!」
良田アリス
「アリス、ビンゴは興味ないなぁ」
大鳥外神
「ビンゴか……会社の飲み会みたいだな……」
螺河鳴姫
「是非若者たちで…と思ったけど楽しそうに見えてきちゃった。」…ってあれ?
大賭清一
「ふぅん…」(プチプチ)
物造白兎
雨土筆らぶり
「........ビンゴってなんです?」
「ええっとね。紙が配られるから、その紙を見て、発表された数字を
探すの。 最終的に縦横斜めどれか一列が揃ったら景品がもらえるよ!
そういう運試し。一緒に見ましょっか?」
物造白兎
「...ふむ、ルールは分かったですけど、一人でやるのはまだ不安です、
アイドルのお姉さん一緒に見ててほしいです」
雨土筆らぶり
「もちろん!一緒に見ようね!」
モノボウズ
「それではビンゴスタートです!
7…51…28…64………(数字を引いていく)
雨土筆らぶり
「少しずつ埋まってきたかも…!」
角沢才羅
「……ようやく3つか」
君野大翔
「四つしか開いてないよ~」
音切おとり
「う~ん、やっと5つ…ばらばらの…」
大賭清一
「リーチかぁ♪」
芍薬ベラ
「うんん……ダブルリーチ……」
大鳥外神
「な、何……?(トリプルリーチ)」
物造白兎
「....あ、りーちなのです!うさぎは、この、穴を温めて育てるのです(?)」
螺河鳴姫
「穴を温めて…育てる…?」
大賭清一
「おっビンゴ~」
モノボウズ
「おめでとうございます~~~1着、大賭清一様!
さすがデイトレーダー、天性の運をお持ちで!」
芍薬ベラ
「はやーい!1着凄い〜」
大鳥外神
「デイトレーダーは運がいいのか……」
螺河鳴姫
「おめでとう!さすがだねえ」
大鳥外神
「これは……まぁ、そもそもビンゴ取ってもな……(半分諦め)」
君野大翔
「なかなか開かなくなったなあ」
雨土筆らぶり
「あっ、72!これでビンゴです!」 (嬉しそうにビンゴカード掲げ)
モノボウズ
物造白兎
「2着、雨土筆らぶり様!アイドルは輝く星の光に導かれていますね」
「わ、すげぇです」
芍薬ベラ
「すごいなぁ……らーちゃん全然あがれないなの〜」
螺河鳴姫
「(小さく手を挙げて)44でビンゴ。
あは…ありがとう。ごめんね、いい年した大人が…。」
モノボウズ
「3着、螺河鳴姫様!星空を見つめる時、貴方もまた星空に
見守られているのでしょう」
大賭清一
「おめでと~さん」
大鳥外神
「え……大人で運がないの……僕だけ……?」
音切おとり
「だ、だめだったかぁ…(がっくし)」
君野大翔
「残念!三つもリーチしてたんだけどなあ」
角沢才羅
「……まあそんなもんだろ」
モノボウズ
「以上でビンゴ大会を終了とさせていただきます。皆様、ご参加いただきありがとうございました。残念ながら今回にビンゴになれなかった皆様には、
高級鼻セ〇ブティッシュをお送りします」
物造白兎
「...ティッシュですしかも高ぇヤツ」
君野大翔
「やわらかいティッシュだ~ 地味にうれしいね」
大鳥外神
芍薬ベラ
「へぇ、ティッシュ……いいですね(にっこり)(上機嫌)」
「やわらかティッシュ……ふわふわなの〜」
姫宮蝶子
「ま、まぁ…確率ですので…(少ししょげてる)」
かくも穏やかに緩やかに、宴は続く……。