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prologue

prologue-中編-

​▼客船ーアクアリウムコーナー

 潮風に当たるのはほどほどに、船内に戻り暇潰しに適当に歩いていた。部屋で休むのもいいが、そのまま寝入って夜になってしまいそうだ。きちんと夜寝なければ、大きくなれない。

 ほの暗いホールに差し掛かり、外の日差しに眩んだ目を優しく癒してくれる。中央に飾られたアクアリウムがわずかに光を放ち、この一角は水族館のようになっていた。

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???

「…おい、ここの水温管理はどうなっているんだ?煮魚でも作る気か」

 薄暗くて気づかなかったが、よく見ると別の水槽を眺めていた男がスタッフに声をかけているようだった。

 

水色のパーカーに白衣を羽織り、浅く焼けた肌がうす暗さの中だとより黒く見える。目元が隠れて表情は分かりにくいが、なにやら怒っているようにも見える。

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 時折海の生物に関するニュースで見かけることがあるが、メディア露出は少なくどういう人物かは分からない。

 海洋学者というくらいだから甲板でずっと海を眺めているものかと思ったが、殆ど外で見かけることはなかった。

 

 誰かがそれを聞いたとき「仕事で散々見てるから、特別感はない」とクールに澄ました顔で言っていたのを聞いた。

 海と生き物を愛する穏やかな人間だと勝手に想像していたが、当人は随分とぶっきらぼうなようだ。

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角沢才羅

「はぁ…一旦魚を別の水槽に移して、この水槽を調整する。

 あんた達に任せると、魚が可哀そうだ。メンテナンス道具は…アレか」

 近くに整備用の工具が備え付けられ、早速作業に取り掛かろうとする姿は職人を見ているようで凛々しい…と思ったのだが。

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角沢才羅

「ぐっ………重いな…」

 工具箱はそれなりに大きく、中にはぎっしりと工具が詰まっているらしい。なんとか両手で取っ手を掴み、数歩歩いては床に置いて肩で息をしていた。

 手伝うつもりはない。男子高校生で持つのがやっとな工具箱を、女子小学生がどうにか出来るわけがない。それに彼は、自分のする事に横やりを入れることを嫌がられそうだ。

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???

「それ、向こうに運ぶんです?もっちゃんお手伝いしますよ~!」

 静かな空間に飛び込んだ声は明るく、その声の主は工具箱の取っ手に片手をかけた。そのままひょいっと、まるでバスケットでも持つような軽やかさですたすたと歩いていく。

 

 薄暗闇に青い水槽の光が差し込む中、彼女の桜色の髪の毛は大きなお団子を揺らしていた。

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角沢才羅

「誰も頼んでいない」

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桜春もち

「まぁまぁ、こう見えてもっちゃん力持ちですから!

 これくらいお安い御用なのです~!」

 むん!と力こぶを見せつけてるであろうポーズを取るもちだが、華奢な腕はどう見ても普通の女子高生だ。それがあれほどの力を秘めているのは、彼女の才能のためだろう。

 

 伝統の味を守る老舗餅屋の看板娘で、昔ながらの味を守りつつ時折大胆なアレンジで新商品を発表し、時折ニュースやSNSで紹介されている。一時期女学生の間でブームになるほどの反響で、私のクラスメイトも並んで買ったと話していた。

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桜春もち

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桜春もち

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角沢才羅

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桜春もち

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角沢才羅

「毎日重たい臼や木槌を扱ってますからね~!えっへん!」

「…馬鹿力」

「あ、それよく言われます!馬鹿力の馬鹿正直って褒められるんです~!」

「それ絶対褒められてないぞ」

「そうなのですか!?!?」

 才羅の倍以上は喋る彼女の表情はころころと変わり、きっと近所のおじさんおばさんから可愛がられるんだろうな…となんとなく思った。

 

 静かな空気で休みたかったが、しばらくは工具の音で落ち着けなさそうだ。アクアリウムを後にして、また散歩の続きに戻ることにした。

 

▼客船ーカジノ

 本来はこのカジノは大人達が夜に賑わっていそうな場所だが、この昼間では単なる遊戯コーナーと化している。

 本物の金銭を賭けることはなく、専用のメダルで子供でも遊べる仕様になっていた。私はこういうゲームは得意ではないが、遊んでいる人を眺めるのは嫌いじゃない。

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???

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沙梛百合籠

「あれぇ~連続で赤だったから、次は黒だと思ったんだけどなァ」

「赤と黒を選んでチップを…よく分からないから、適当でいいわ」

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???

「私も適当に…あ、当たった。ビギナーズラックってやつだね」

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???

「はぁーい、負けた人はコインをワタシにちょうだい。

 勝った人にはコインを配るからね」

 見れば4人がテーブルを囲み、ルーレットで遊んでいるようだ。

 にぎやかである事と品がない事は別だ。姫宮家長女たるもの、いつでも優雅に落ち着いて過ごす私だが、賭け事に騒ぐ彼らを咎める趣味はない。

 

 慣れた手つきでコインを配っている女性がゲームを仕切っているらしく、初心者の集まりに丁寧に分かりやすくルールを説明していた。

 軽やかな口調に艶やかな深紅の髪はカジノの雰囲気に似合っており、大胆なスリットの入ったドレスはショーガールのよう。最初はカジノスタッフが対応しているかと思ったが、顔を見て彼女も招待客だと気づいた。

 とにもかくにも勝負好きなことで有名で、高校生にして全世界を渡り歩き「賭け事あるところに彼女あり」と言わしめるほど。

 完全無欠の勝者でなく敗北することもあり、かつゲームを盛り上げる立場のディーラーがプレイヤーを打ち負かす展開…などといった、ある意味で抜けている部分が愛嬌の1つなのかもしれない。

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アヴェル

「お嬢ちゃんも一緒にゲームする?何人でもワタシは大歓迎よ!」

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​姫宮蝶子

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アヴェル

「いえ…私は結構です」

「それじゃ、見て楽しんでいってね!」

 可愛げのない子供であろう私も邪険にせず、軽いウインクと軽快なトランプさばきを披露する姿はまさにエンターテイナー。彼女の声に耳を傾ければ、気づけば有り金がすっからかん…なんていう話もよく聞く。

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???

「ん~負けっぱなしってのも悔しいし、もっかいやろっかなァ。

 アべルちゃん~チップちょーだい」

 ルーレット前のでばたばたと羽織をはためかせ、息まく男の声は楽しそうだ。先ほど負けたばかりだと言うのに、懲りずにまた同じゲームに挑戦するらしい。

 彼以上に表情を読み取れない人間はこの船にはいないので、そういう意味では勝負ごとに向いているのかもしれない。読み取れないというより、そもそもお面で顔が見えないのだが。

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 狐面をつけた上に白い羽織を頭まですっぽり被った姿は、芝居の最中にそのまま抜け出してきたかのようだ。それでいて羽織の中身は学ランなのだから妙にちぐはぐに感じてしまう。

 剣舞の道ではかなりの有名人らしいが、それ以上に間延びしたおっとりした雰囲気と奇抜な見た目が有名だろう。どんな時でもマイペースに生きる姿を世間は【おっとりおとり】と呼ぶそうな。

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音切おとり

「賭け事なんて初めてだけど、コレたのしーねぇ。普段は花札とか

 チンチロリンとか、なんかそんなのばっかに誘われるからさぁ」

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アヴェル

「それは完全に見た目のせいじゃないかしら…?

 あっちに和式の賭け事のコーナーもあるわよ?」

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音切おとり

「ここで勝つまで俺はプッシュするよォ。負けたままは悔しいからねェ」

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???

「はは、お面ちゃんっておっとりしてるのに負けず嫌いだね」

 負け越しているおとりの隣では、テーブル台にカメラを置いてコインを手で遊ばせている女性が座っていた。

 すらりとした長い足を優雅に組み、褪せた色の服なのに地味さをまるで感じさせない振る舞いで、ハンサムという言葉がお似合いの女性だ。

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???

「賭け事なんてものは、星の廻り合わせによるものさ。

 見えない時もあれば輝く時だってあるよ」

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 彼女の名前も顔も全く知名度はないが、彼女の成果は教科書に載るほどに有名である。

 かつて確認されたことのない希少な天文現象を撮影し、その写真や動画は彼女が高校生から大人になった今でも番組に取り上げられる。まさしく天文学的数字の星空を引き当てた、星空に愛された女性、それが彼女だ。

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螺河鳴姫

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音切おとり

「今日の私はたまたま星が輝いて、今日の君はたまたま別の星で

 隠れちゃってる。それだけの話だよ」

「せっかく写真家がいるんだから、大勝利したところを写真にとって

 貰おうと思ったのになァ…」

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螺河鳴姫

「私はちょっと面白い写真が撮れるだけの、ふつーの写真家だよ。そろそろ日が

 暮れる頃だし、夜になったら甲板で星空でも撮ろうかな」

 そう言いながら彼女はひとつ、大きく伸びをして立ち上がった。

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螺河鳴姫

「お嬢ちゃん達も、あんまり遅くまで起きてちゃダメだよ。

 明日には島に着くんだからさ」

 軽くウインクをしながらしゃがんで目線を合わせ、少しほほ笑む顔はどこかきらきらとしている。こういう大人の姿に、少し憧れがないわけではない。

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​姫宮蝶子

「夕食はまだ早いですし…もう少しどこか覗いてから

 レストランに行きましょうか」

▼客船ーバー

 落ち着いたジャズの流れるバーは、夕方だというのに賑わっている。むしろ、夕方だからこそ寝る前にはしゃぎたくなるのだろうか?

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御透ミシュカ

「それでねー、このガラスはこのカットの調整がすっごくすごっく大変で、

 がんばったんだよー!」

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物造白兎

「ガラス工芸はやったことないのです。キラキラできょーみぶかいのです」

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良田アリス

「このチョコおいし~」

 そういえば、甲板でバーに行くとか話していたが、まだいたのか…。チョコレートを摘まみながらグラスを見たりジュースを飲んだり、まったく、子供のようだ。

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​姫宮蝶子

「はぁ…未来を担う若者があのはしゃぎようとは、情けない…」

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???

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???

「まぁまぁそう言わずにさぁ。あれくらい元気な方が女の子は

 かわいいって♪」

「こんな豪華な客船滅多に乗れないし、お客さんも俺達だけだしね」

 そういえば、甲板でバーに行くとか話していたが、まだいたのか…。チョコレートを摘まみながらグラスを見たりジュースを飲んだり、まったく、子供のようだ。

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???

「客としてじゃなくて、仕事で客船やらクルーズを品定めする側には

 回るけど、自分が客側になるなんてな~。この船と経営会社は

 しっかりしてるとこだから、遠慮なく乗らせてもらったけどさ」

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 株の売買で一攫千金を夢見る者は多く、その殆どは夢半ばに散ることになる。ごく一部の成功者であり、金の流れを嗅ぎ分ける才能は一級品。ニュースにもゲストとして幅広い知識を持つコメントを披露し、真面目そうな印象の男性だったが…。

 

 グラスを指で軽く弾き、いい音を立てたそれを満足そうに見つめ一気に煽る。軽薄そうな口調は、少なくとも私の知るどの大人より絞まりがない。

 アルコールの匂いに一瞬顔をしかめそうになり、思わず顔を反らしてしまった。

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​大賭清一

「あ、ごめんな~酒臭かった?はいこれ、チョコ。チョコの香りって、

 香水とかお酒の匂い消しにいいって言うしさ」

 マスターにいつの間に頼んだのか、私の目の前には美しく飾られたチョコレートが置かれた。船内の全ての飲食物はサービスのため、彼に奢られるわけではない…と思いながら遠慮なく一つ口に放り込む。

 芳醇な香りが口に広がり、船の質と同じく一級品のものなのだとすぐに分かった。同時に酒の香りを感じなくなり、ほっと一息つく。

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​姫宮蝶子

「バレンタインの時間の私にチョコを出すとは、中々の根性ですね」

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​大賭清一

「この船のものなら一級品だろうし、姫宮家のお嬢様ならその価値は

 分かるっしょ?ま、子供はそんなこと考えずに素直に受け取ってれば

 いいと思うけどね~」

 へらりと笑う男だが、今この瞬間も私の家柄と才能を見定めているのだろうか。おそらく先ほどの彼女たちが食べていたチョコも、この男が差し出したのだろう。

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​姫宮蝶子

「未来への先行投資、ですか」

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​大賭清一

「まあね~単なるゴマすりって取ってもいいよ?それで君らが将来大物になって

 くれたら俺は万々歳だから。ここは資源の宝庫だなって♪」

 歯に衣着せぬストレートな言葉は、いっそさっぱりしているくらいだ。それを隣で聞きながら、もう一人の男は苦笑していた。

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???

「最近の子はすごくしっかりしてるね…俺も見習わなくっちゃ」

 テレビで見た回数ならデイトレーダーよりもよっぽど多く、女性で一番の有名人がアイドルなら、男で一番の有名人は彼だろう。

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 甘く爽やかな顔に穏やかな笑みを浮かべ、蝶子を見るために軽く目線を下げる仕草まで好青年のオーラを放っている。

 彼が演じた恋愛ドラマは軒並み大ヒットし、彼氏を演じるために産まれてきたと言われ、彼氏にしたい有名人ランキングの一位は当たり前。最早彼以上の彼氏は現れないと、殿堂入りさせている雑誌もあるそうだ。

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君野大翔

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​大賭清一

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君野大翔

「役では大人としてお酒を飲む演技もするけど、本物の大人になるのは

 まだまだな気がするよ。年齢ばっかり大きくなってさ」

「ははっ、オレだって大人な自覚なんてナイナイ。

 なんとなーく適当に楽しく生きてたらこうなっただけだって♪」

「俺からすれば、大賭さんだって立派な方ですよ。

 株とかって、本当に頭が良くないと出来ないことでしょうし」

 はにかみながら話す言葉はどこまでも柔らかく、その顔で見つめられたら女の子が騒ぐのも無理はない。そういえばクラスメイトの女子たちも、恋人にしたいとはしゃいでいたような気がする。

 バレンタインの時期には必ず教室をやるのだが、彼当てのチョコレートを作る人も大勢参加するあたり人気度が伺える。

 もっとも、手作りの差し入れなど芸能人相手に易々とするものではないと思うが。

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