Chapter2
Chapter2―マリンスノーとスノーシュガー―
(非)日常編
今日も雨傘島の空は澄み渡り、海は水平線まで輝いている。美しい景色とは裏腹に、招かれた者達の顔色は優れなかった。
雨土筆らぶりと音切おとりが死んでから…殺しあってからしばらく経った今も、胸がずっすりと重い。死体の冷たさに怯え、疑いを抱えたまま真相を探り、誰かに罪を擦り付けながら議論をした。その果てに、自業自得とはいえ、目の前で人が死んだのだ。
亡くなった二人のコテージは夜になっても明かりが灯らず、いっそコテージがなくなってしまえばいいと思う。そうすれば、毎朝毎晩誰もいないコテージを見て、死んだ事実を考えずに済むから。
そんな空気を読めずに、あるいは意図的に読まずにか、1人の少女が声をあげた。
良田アリス
「アリス、海水浴したーい!」
良田アリス
「だって、あんなに綺麗な海があるんだよ!夏なんだよ!?
梅雨もまだなのに、皆じめじめして、つまんない!!」
姫宮蝶子
「あのですね…ついこの前のことをお忘れですか?
そんな遊んでいる場合では…」
良田アリス
「こんな時だからだよ!こんな時だから遊ぶの!
めいっぱい、生きてることを楽しむの!」
無邪気で子供らしい、身勝手でわがままな声にも、要求すればモノボウズはすんなりと用意をしてくれた。
海辺のパラソルやレジャーグッズ、BBQの用意に浮き輪やボートがあっという間に砂浜に並ぶ。
君野大翔
「気分転換にはなるかな……」
沙梛百合籠
「遊ぶと言われても、どうしましょう……貝殻でも集めようかしら?」
大賭清一
「ここまで用意されちゃ、楽しまない方がマナー違反かもねぇ♪」
芍薬ベラ
「ぱしゃぱしゃなの〜!(海水で触って遊んでる)」
良田アリス
「わぁい、ありがとうモノボウズ!あ、でもアリス泳げないから砂浜で遊ぶ―」
栂木椎名
「え、海に誘ったのは君なのに!?」
桜春もち
「もっちゃんも泳げないので、一緒に砂のお城作ったり貝殻ひろいしましょ~」
君野大翔
栂木椎名
御透ミシュカ
大鳥外神
角沢才羅
アヴェル
「楽しい生活とか、どの口が言ってるんだか…」
「本当に、なんというか……僕たちを害したいのだかなんなんだか……」
「海水浴ってテンションじゃないんだけどー…」
「正気か?あんな奴らの用意した物で遊ぶとか…」
「そうですよ、海なんて雑菌まみれなのに正気とは思えない…!」
「大鳥さんはなんでこの島の招待受け取っちゃったの…」
モノボウズ
「水着の貸し出しもあるので、遠慮なくご利用ください。私達の本来の
役割は、皆さまにこの島での楽しい生活を送っていただくことですから」
物造白兎
良田アリス
「......防水用髪留め忘れたです。(ムスッとしてる」
「アリスは泳げないから、砂浜でぱちゃぱちゃしよーっと」
おとり『はぁ、ガキの水着とどーでもいいわ』
らぶり『海辺で歌っていたものの人が集まってくるのを見て止め、静かに海水浴する皆を眺めている)』
栂木椎名
君野大翔
「気分転換も大事だものね」
「撮影じゃない海水浴なんて何年ぶりだろう」
螺河鳴姫
桜春もち
「そうそう、こんな時だからこそはしゃぐんだよ。」
「海です〜!!!貝殻でも拾いましょうかね〜」
物造白兎
芍薬ベラ
栂木椎名
御透ミシュカ
栂木椎名
物造白兎
「あ、栂木君編み込みやってくれてるっ!似合うよーっ!」
「あ、気付いてくれた?練習した甲斐があったなぁ」
「..思ったより遊んでるやつが少ねぇです!?
なんかはしゃいでて、ウサギすげぇ子供みてぇです?!」
「はしゃぐのは悪いことじゃないなの〜。」
「切り替えは大事だ。ちょっとくらいはしゃいだって、バチは当たらないよ」
「...〜っ!...てめぇらもはしゃぎやがるです〜!」
物造白兎
大鳥外神
栂木椎名
「海とか無理無理…………」
「大鳥さんは……相変わらずだな」(苦笑い)
「....あいつ(大鳥くんを指さし)に水かけたら死にそうですけど
掛けてもいいですかね」
大鳥外神
沙梛百合籠
「海水をかけるとかやめてください!?!?」
「まあ、ヤドカリさんがいるわ。うふふ……こんにちは」 (何も聞いてない)
モノボウズ
「本日は暑くなるので、経口補水液…夏バテ用のドリンクをお飲みください。
各コテージの冷蔵庫にも補給しておきましたので、海に行っても
行かなくても、しっかり水分補給をしてくださいね」
降り注ぐ日差しは肌を焼き、気づかぬうちに額から汗が吹きでてくる。雫のついたグラスを傾けて一口飲めば、爽やかな味わいがすぅっと体の中を通って、火照った体を冷やしてくれた。
物造白兎
沙梛百合籠
御透ミシュカ
桜春もち
大賭清一
螺河鳴姫
モノボウズ
「甘酸っぱい…オレンジかしら?」
「ん~、この淡い黄色と酸味は…グレープなのです!」
「み”っ、パイナップルはもっちゃん舌がぴりぴりするです~…」
「こっちのレモンにしておく?酸っぱいけど飲みやすいよ」
「うまいけど…アルコールはないの?」
「水分補給にならないので却下です」
「クーラーボックスでビールを持ってきておいて、まだ飲む気かい?」
夏空の下、海風を浴びながら笑う。悲しい思いを振り切るように、涙のしょっぱさを海の味だと誤魔化すように。
楽しい時間と言うのはあっという間だ。太陽が真上から降り始め空がほんのり薄暗くなる頃、満足したように道具を片づけ始める。
楽しかったねと笑いあっている中、がしゃんと何かが倒れる音がした。
桜春もち
「わわっ、ごめんなさいです~!パラソルおっことしちゃいました~!」
それなりに大きくて重たいパラソルだ。他の女子なら運ぶのも一苦労だが、もちなら軽々と持てる…と思っていたが、拾うのに苦戦しているようだった。
桜春もち
「あ、あれ…なんだか、力が入らないですね~…
ちょっとはしゃぎ、ですか~…?」
らぶり「えっ、桜春さん…!?大丈夫ですか…!?」 (近付いて顔を覗き込む)
そう言うもちの顔は赤く、なのに指先は白くかたかたと震え、パラソルを拾うどころではない。ついにふらりと膝をつき、遊び疲れたにしては酷く荒い息をしていた。
…そしてそれは、彼女だけではなかった。
芍薬ベラ
栂木椎名
桜春もち
御透ミシュカ
「……む、」
「……………あはっ(急に笑い初め)」
「う〜」 目をぐるぐるさせてぐらんぐらん
「う、わ……ま、ッずいなこれ……」(頭を抑えながら、その場に膝をつき)
大鳥外神
沙梛百合籠
良田アリス
螺河鳴姫
「あら?」
「体調が悪いのかい?大丈夫?」
「ふぇ?みんな夏バテ??」
「……え?」
芍薬ベラ
「どーした?もっちー、お疲れサマーって感じ?大丈夫そ?
うちも手伝うよ?(時代を感じるギャル口調で)」
物造白兎
「うぅ..グズッ...つかれたですぅっ!グズッ...もうやだぁ...かえりてぇですぅ...」
沙梛百合籠
「おはよう!!!!!いい朝だな!!!!!虫取り日和だぜ!!!!!!」
御透ミシュカ
「あたしから離れないでくれるよね…?みんな一緒に居られるよね?
あたしみんなのコト信じてるもの!しんでもあたしずっとそばにいるわ!
誰にも刺されないで!あたしが刺すんだからっ!(癇癪)」
アヴェル
桜春もち
「嫌だ〜っ!!やだやだ!!!(体をほてらせながら地団駄を踏み)」
「は〜?何がおつかれさまですか〜???
もっちゃんは全然疲れてなんかありません〜!!」
芍薬ベラ
「ま?それなら良かった。とりま、MMはちょっと待って欲しいから〜。
うち、馬鹿にした訳じゃないし。」
沙梛百合籠
「最強のカブトムシ、絶対に捕まえてみせるぜ!!」
物造白兎
「なんかあちぃですぅ...きもちわりぃですぅ!やぁだぁ〜!
(うわぁーんとその場で泣きわめく」
芍薬ベラ
「うさぎちゃん、バビってるし。ヤンデレ的までいてワケワカメ。マジウケる」
物造白兎
「グズッ...バビるってなんですぅ...死ぬんですよね....いやですぅ...グズッ..」
栂木椎名
「な、んか、周りが随分と騒がしいな……頭に響くんだけど……」
芍薬ベラ
御透ミシュカ
桜春もち
栂木椎名
「つらおちゃんは辛いでしょ?バイブスあげてこ?」
「あたし好きなコの為なら頑張れるよっ!(おもちゃの包丁持ちながら)」
「無性にいらいらします〜」 怒りなれてないため地団駄踏んでるだけ
「ざ、つおんがすごいな……少し席を外させてもらいたいんだが
いいだろうか……」(よろけながら)
発熱、倦怠感、そして突然変化した性格…明らかな異常事態に困惑する中、モノボウズが珍しく焦ったように救急バッグを運んでいた。
モノボウズ
「これは…皆さんをすぐにコテージをお運びください。
とりあえず早く休ませないと」
大鳥外神
「お、おい、どうなってるんだ……」
姫宮蝶子
「あの、桜春さん達はどうしたんですか…?何かの病気とか…!?」
螺河鳴姫
「う〜ん、日射病?とにかく早く帰したほうが良さそうだ。」
モノボウズ
「…わかりません。彼女らの状態を見るに、発熱と性格の変化が強く
出ているようですが…便宜上【不明熱】と呼ばせていただきます。
とりあえず、身体を部屋して休ませますので、道をあけてください」
姫宮蝶子
「そんな…早く病院に連れ行った方が良いですよ!
コロシアイとか落とし主とか、言ってる場合じゃありませんよ!」
モノボウズ
モノボウズ
「それは駄目です。島の外へ出てはいけません!」
「大丈夫、貴方達の命は、私が守りますから。少なくとも、こんな熱で
死なせは致しません。そんなことを私達は望んでいません」
モノボウズ達が担架を広げ、発熱者はコテージへと送られる。それに心配してついて行く者もいれば、夏バテだと思う者、感染すると困るからと距離をとる者もいた。
沙梛百合籠
物造白兎
螺河鳴姫
大鳥外神
栂木椎名
芍薬ベラ
「うわぁぁん...あついですぅ .!きもちわりぃです....!」
「あぁ、もう……なんだったんだ、さっきのは……五月蝿くてかなわない……」
「暑すぎるとメイク落ちるから、ガン萎えなんですけど〜」
「まあ、大惨事ね…」
「これ片付けちゃったらすぐ見舞いに行くよ!感染には気をつけるから。」
「うっ………ぐ、ぐぐ……子供たちの健康……僕の健康被害……(葛藤)」
らぶり『やっぱりこの島…おかしいですよ……。』
おとり『おかしいやつ筆頭がなんか言ってら』
らぶり(音切くんの発言を聞きつつ無視して罹患者組の様子を近くで眺め)
楽しい夏の一日の終わりに、ほんのりと陰りが差す。
この陰りが何をもたらすか、それを知るのはもう少し先のことであった…。