閑話:湯煙柵倒れ事件
閑話:湯煙柵倒れ事件
穏やかな気候に豊かな自然。見渡せば青い海。海が見えるということは、潮風が吹くということ。潮風が吹くと言う事は、身体がべたついてしまうこと。
つまり、だ。
姫宮蝶子
「気持ちいいですね…」
湯の中で手足を伸ばしながら青空を見上げるのも道理というものだろう。
各コテージ内にお風呂が備え付けられてはいるが、広々とした天然温泉の魅力には抗えない。コテージから少し歩きはするものの、湯上りに風を浴びながらのんびり過ごすのは心地良いものだ。
姫宮蝶子
螺河鳴姫
「さすがに家の風呂もここまでは広くないですね…」ちゃぷちゃぷ
「空が見えるお風呂は最高だよ。わ、あつ〜〜!」
芍薬ベラ
良田アリス
「アリスは足湯だけ〜乙女のすはだは晒しちゃだめってパパが言ってたもん」
「極楽なの〜(ちゃぽーんと浸かって)」
桜春もち
「いいお湯です〜」 バッシャーンっと入ってきた女
湯の暖かさをたっぷり感じ、和やかな時間が過ぎていく。体も洗ってそろそろ上がろうかと思った、そんな時だった。
ぎぎぎぃ…と何かが軋むような音に振り返る。
それは男湯と女湯の二つを分ける柵が大きく音を立て、それはゆっくりと影を傾けた。
ガッシャーン!!!!
あ、と思った時には派手な飛沫の音を立てて、ばらばらになった柵が温泉にぷかぷかと浮かんでいた。
二つの湯を隔てる柵が倒れた今、その視線の先には当然…
芍薬ベラ
螺河鳴姫
桜春もち
栂木椎名
雨土筆らぶり
「きゃあっ!何ですか!?」
「うわっ!なんだよ、すごい音がし……あ」
「みゃああああああ!!!」
「ボウズちゃん!早く大きめのタオルの一つ持ってくるんだ!」
「もうちょっと湯船に浸かってていいですか〜?(図太精神)」
姫宮蝶子
「何を呑気なこと言ってるんですか!」
てんやわんやの大騒ぎの中、慌てた様子で番頭役のモノボウズが飛んでくる。
モノボウズ
「一体何ごとですか!?…って、柵が倒れてらっしゃる!?
おやまぁ…とにかく、皆さん早く中へお入りください!」
室内に誘導され、身体を拭きながら浴場の様子を眺めると、何体かのモノボウズが倒れた柵に集まっていた。
モノボウズ
「これは…柵の老朽化ですね。
皆様が島に来られるまで、あまりここは使われていなかったので…」
モノボウズ
「お怪我をされた方はいませんね?
おくつろぎのところ、大変申し訳ありません」
栂木椎名
「老朽化?またタイミングよく壊れたな……」
桜春もち
「まことに遺憾ですよ~」
その後、柵の修理のため温泉の出入り口には立ち入り禁止の看板が立てられた。旧い部品を全て入れ替えるため、そこそこ時間がかかってしまうようだ。
姫宮蝶子
「しばらくは自分のコテージのお風呂に入るしかありませんね…」
螺河鳴姫
栂木椎名
音切おとり
「悪いことがあった後には良いことがあるからさ。
……まあこれが"良いことだ"って言う人もいるかもしれないけど。」
「……こんなことが起こるなら、音切くんあたり誘ってくれば
よかったかもしれないな」ボソ
「えー!?そんな嬉しいハプニング…いや、大変なことがあったの!?
俺も誘ってよォ〜〜〜」
桜春もち
「ハプニングはいつ起こるかわからないからハプニングなんですよ~?」
とんだハプニングに見舞われながらも、青空を雲はゆっくりと通り過ぎていくうららかな日々であったとさ…。