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epilogue

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すべての元凶が消え去ったのを見届け、息を吐いた。
安堵や落胆、疲労が入り混じったなんとも言えない重たい息が、深く深く肺から抜け出ていく。

ようやく、終わった。その感覚だけでなんとか足元を支えているような気分だった。
そして黒幕もモノエルもいなくなった今、別の別れもまた近づいていた。


 

『あ…手が透けて…』

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毒桃京知



香により見えていた死者…という名の幻覚が徐々に薄れていく。

初めからそこに彼らはいなかったが、それでも自分たちは彼らと言葉を交わしていた。
彼らの存在がすべて偽りの幻覚だとしても、残る記憶は嘘偽りではない。

 

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カレブ

『嗚呼。時間が来たんだな?』

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滑川ぐみ

『……長かったような、短かったような』

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夜見塚灰慈

『………』

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​描成絵智

『……本当にもう消えちゃうんだ……』

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花柳玲子

「………終わった、のねぇ」

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リリー

…………………わかって…たわよ。こうなるって………

 …だから、会いたくなかった…のに」

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毒桃京知

『…今のあたしは、毒桃京知本人じゃないけど…ちょっとだけ、生き返った

 みたいで嬉しかったよ。…この気持ちも全部、幻だとしてもさ』

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​黒羽麗

『……なんていうか、色々あったけど……いざ終わるってなると

 あっけないな〜……ほんとにさ、色々あったけど。

 それでもおれは結構楽しかったよ。念願の友達もいっぱいできたし!』

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メアリー

『あらあら、終わりですかぁ。…ふふ、引き延ばされた終わりですけど、

 悪くない退屈だったんじゃないですかぁ?

 お酒が飲めてたらもぉっと悪くなかったんですけど。』

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フェイ

『とても……変な気分だよ』

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エリアス

『…終わりですか… 元々、幻覚のようなものです… またお会いしましょう』

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​描成絵智

『なんか……色々あったけど……。最後に僕の絵を好きだって言ってくれる

 人たちに会えたし……絵で喜んでもらえたりもしたから……。

 なんだかんだ幸せだったのかも』

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カレブ

『消えたらどうなるんだろうなぁ。いよいよ本当に地獄に堕ちるか』

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面屋敷浪漫

『ではアッサリ消えてしまいましょうか』

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比与森閑古

『やだなぁ………』

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琴ノ緒閑寂

『幻覚だもんな。……はあ。まあいいや、最後にやれる事があるなら…

 …おらっ(比与森の足を踏んでいる)』

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比与森閑古

『は!?なにすんの!?』

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琴ノ緒閑寂

『最後にやり返すタイミング来たから踏んだんだよ!』

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比与森閑古

『最悪!陰険!ほんと性格悪いよね!おれだってやり返し足りてないん

 だけど!?』

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琴ノ緒閑寂

『はっ、あの世でやりな!俺もやってやるからよ』

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糸色恋花

「………あのね、聞いてる人の方が少ないかもだけど…

 終わる前に、宣言しときたくて」」

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糸色恋花

「私、やらされてばかりで忘れてたけど。……看護師になりたかった。

 こんなとこだけど、ちょっとずつ思い出してった」

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糸色恋花

「私、もう気持ちを過去形にしないわ。私、看護師になる。

 ……ここで消えた命のことを忘れたくない」

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花柳玲子

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糸色恋花

「応援してるわぁ、糸色ちゃん」

「……ありがとう、花柳さん。会った時から、貴方のこと ずっと大好き」

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​描成絵智

『……いいですね、看護師。えっと……応援してますね』

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踊瀬舞円華

『……頑張ってね』

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​黒羽麗

『……恋花ちゃんならきっといい看護師さんになれるよ!

 めっちゃ応援する!』

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滑川ぐみ

『……うん。やりたいことがあるなら、それがいちばんいい』

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リリー

「……………私はきっとかなり近いうち皆に会いに行くわ。またね~~」

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花柳玲子

「ちょっとリリー?」

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エリアス

『寿命まではきっちり生きてください』

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リリー

「あー、うざ~~先に楽になった人がなんか言ってるわ~………

 …はぁ……これが、幻覚、ねぇ。」

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心条裁己

「リリーさんに死なれては困る。冗談でもそういうことは

 言わないでください……ほんとに」

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フェイ

『なるべくゆっくり 時間をかけて来て欲しい …

 …みんなのその後の話 楽しみにしているよ』

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遠雷紬

「……これまでと同じかは、わからないけど…私の歌が届くなら…

 …聞いてください」

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心条裁己

「……俺は立場上、会えるかは分からないけど。

 皆が穏やかに生きていてくれればいいと思ってる」

「前向いて歩いてけ。希望は未来にしかないからな」


やがて彼らの姿は淡く解け、完全に消え去り後には足跡さえ残らない。
5つの影と17の遺影が並ぶ裁判場を後に、エレベーターに揺られる。

その後のことは、流れるように事が進んだ。
救助隊の船に乗り、長い取り調べを受け、くたくたになった頃に各自家へと送られた。

世間では集団誘拐事件のことについて騒がれていたが、宗教団体による犯行とのみ発表され、
カスタード教会は電子の噂程度にしか出回っていなかった。

しっぽ切りに使われたモノエル達にすべての罪を押し付け、今も大本はどこかであの儀式を続けるつもりなのだろか?それを知るすべは、今の彼らにはない。

救助された元超高校級として大衆からの好奇の目は止まず、この事件は貴方の人生に大きな傷跡として
残されることだろう。

彼らがこれからの未来を、どう選択し如何に歩んでいくか。





それはまた、別のお話。




 

​カスタードロンパ <完>

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