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chapter2-番子の墓に呼子鳥-
chapter2-番子の墓に呼ぶ子鳥-(非)日常編
活発な少女の笑い声が聞こえない。
たくましい革靴と乾いた金属が床を叩く音が聞こえない。
恒例となったお茶会に参加する者の口数は少なく、部屋から出てこない者にはちびエルが紅茶とお菓子の
デリバリーをしているらしい。
毒桃京知とカレブが死んでから幾日か過ぎたが、いまだ胸の奥がじくついて仕方がない。
この施設にいる多くの参加者は殺し殺される世界とは無縁の住人だ。それが皆で指さして人を処刑する様の
なんたる異様なことか。

モノエル
「秘密を握られれば積極的に動くかと思ったけど、アクティブすぎまちたねぇ、あの…ほら…色黒で大きい…なんでちたっけお名前?」
口があるかもわからない顔に紅茶を傾けたモノエルの口調は変わらない。
ここに足を踏み入れた時とまるで変らぬ口調に、うすら寒さを感じた。
