
Chapter2
Chapter2―マリンスノーとスノーシュガー―
裁判編(2)
視線を向けられたアヴェルを見ると、確かにいつも頭部を飾るリボンの片方が見当たらない。
その表情はあまり崩れておらず、あくまでクールなポーカーフェイスのままだった。

アヴェル
「確かに…ワタシが農薬を入れたわ。熱が出てる時、なんだかもう
訳が分からなくて、帰るために誰でもいいから…
なんて馬鹿なことを思ってしまったの」

アヴェル
「でもワタシは犯人じゃないわ!
だってもちは解熱剤を飲んでいないんだもの」
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姫宮蝶子

アヴェル
「なぜそんなことが分かるんですか?ずっと見張っていたとでも?」
「違うわよ。事件のあった日にフルーツサービスをしていたでしょ?
あの時、もちはパインは体調が悪くなるからいらないって
言ってたのよ」

アヴェル
「そんな子が、わざわざパイン味の解熱剤なんて飲むわけないわ」
☂ フルーツサービス
不明熱の患者のために、ビタミンやミネラルを取れるように全員へ果物の配達サービスがされていた。多種多様な果物のセットだが、不要な果物は除外できるシステム。

御透ミシュカ
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良田アリス

大鳥外神
「パインで体調悪くなるってい うこともあるんだ…」
「あ、そういえば海で遊んでた時も、パイナップルで舌がぴりぴりするって
言ってたね」
「ああ…パイナップルで舌が痛くなるのは、舌のたんぱく質が分解酵素で
分解されるからだけど…体調が悪くなるというなら軽度のアレルギーが
あったのかもね」
☂ アレルギー
免疫の過剰な防疫反応による症状。呼吸器症状、消化器症状、頭痛、広範囲の発疹がおもに見られる。特に多いアレルギーは鶏卵、牛乳、小麦、木の実類、フルーツ、魚介類、ソバなど。

大賭清一
「けどさぁ…もちちゃんの首元の湿疹はアレルギー性だってファイルに
書いてあったじゃん。それがもちちゃんが解熱剤を飲んだ証拠じゃないの?」
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姫宮蝶子
「いえ…アレルギーの出るものを食べたとしても、首周りだけに
アレルギー反応が出るなんて不自然です。
発疹が出るとしたら、もっと広範囲にでてるはずです」

物造白兎
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姫宮蝶子

御透ミシュカ

芍薬ベラ

大賭清一

沙梛百合籠
「蝶子、なんかすげぇ頭賢そうなのです!」
「食材を扱う才能として、当然の知識ですよ」
「じゃあ、なんでもちちゃんアレルギー反応が出たんだろうねぇ…」
「うーん…まさかパイナップルを首にこすりつけたわけじゃあるまいし…」
「レモンパックみたいな感じなの?」
「虫が寄ってきそうね…」

君野大翔
「子供たちが事件の前に海洋研究所で集まってたけど、その時パインジュー
スを零したみたいなんだよね。タオルで拭いてたけど、
服にもかかっちゃったみたいで、すぐにコテージに帰って行ったんだ」

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姫宮蝶子
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良田アリス

沙梛百合籠
「そういえば…物造さんはぐずるし、沙梛さんはそのまま遊びに行こうと
するし、引き留めるので精一杯で…」
「アリスと蝶子ちゃんだけで2人を連れて帰るの、大変だったんだよ!」
「その節は」

物造白兎
「世話になってやったのです」

大賭清一

君野大翔
「…その時のタオルって研究所の中に置いたままだったんじゃない?」
「…そのパイナップルの果汁がしみ込んだタオルで首を絞めたら
首に発疹が出ても不思議じゃないよねぇ」

大賭清一
「タオルなら紐や手みたいに首を絞めた後は残りにくいだろうし。
本当の死因は溺死でも中毒死でもなくて、絞殺だったんじゃないの?」

栂木椎名
「けど、研究所って誰でも入れたし…桜春さんが死んだのは発見されるより
数時間前だろう?それじゃ誰が犯人なのか特定できないよ」

螺河鳴姫
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姫宮蝶子

大賭清一
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姫宮蝶子
「結局…今のところ分かったのは、犯人は研究所のタオルで桜春さんを絞殺し、
死体を水槽に入れた、ということだけですね。
「解熱剤は、水槽に転落し溺死したように見せかけるためのフェイクでしょう。
蓋は落ちたように見せるために、わざと開けっ放しにしたのでしょうね」
「それなら誰にでも出来る事だね。もちちゃん、小柄だから女の子でも
運べそうだし…あ、もちろん子供には無理だと思うよ」
「日差しが差し込んで水温が上がって赤潮ができた…ってんなら、その間に
犯人は証拠も 消しちゃってるだろうしねぇ」

沙梛百合籠

御透ミシュカ
「それじゃあ…事件前の皆の行動をさかのぼってみるのはどう?
アリバイ…にはならないかもしれないけど、事件に関係あることが
わかるかもしれないわ」
「事件前の行動かぁ…」

大賭清一
「事件前ってと、お昼頃?昼飯食った後、死体発見のアナウンスが鳴るまで
レインドッグにいたよ。螺河さんも一緒で、数時間は一緒にいたねぇ」

螺河鳴姫
「その間ずっと駄弁りながらゲームしていたし、証拠を隠す時間なんかも
なかったね」


栂木椎名
「僕は熱が下がって楽になったから、カフェでご飯食べてたよ。
君野君と姫宮さんも見たね。2人でコテージの方に、他の人のお昼を
届けに行ったみたい」
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姫宮蝶子
「ええ、カフェで軽食を作ってもらって、コテージまで君野さんと運びました」

君野大翔
「届けたあとはさっきも言った通り、海洋研究所で子供達…
姫宮ちゃん、物造ちゃん、良田ちゃん、沙梛ちゃんの4人を見かけたね」

アヴェル
「………ビニールハウスで農薬を取って、コテージ近くにあった
解熱剤の1つに、適当にかけて…あとはコテージで寝てたわ。
ずっと1人だったし…」

御透ミシュカ
「あたしも昼まで寝てた…。昼過ぎに気分転換に散歩に出たら大鳥さんに
会ってもちちゃんを見つけて…それまではずっと1人だったよ…」

物造白兎
「ウサギはずーっと誰かと一緒だったのです。
昼頃ならアリス達と一緒だったのです」

物造白兎

角沢才羅

沙梛百合籠
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良田アリス

角沢才羅
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良田アリス

螺河鳴姫
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良田アリス
「アリスは海辺で才羅君に海のことを教えてもらってたの!
自然教室ってやつ!」
「何が自然教室だ。俺が歩いてたら、勝手にお前らが集まってきたんだろうが」
「才羅はなんだかんだ面倒見がいいのです」
「いっぱい教えてもらって楽しかったの!」
「そうかそうか、おかげで俺は海水ひっかけられて、
着替える羽目になったんだぞ?」
「なんだか大きな平べったいカブトムシを取っていたような気がするわ…」
「それカブトガニだよー」
「楽しそうなことしてたんだね。」

大鳥外神
「ああ…それなら私もいましたよ。私は遠くから眺めてるだけでしたが…