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chapter5-アー・ユー・レディ?-

chapter5-アー・ユー・レディ?裁判中編

夜見塚『………生きている者には俺たちの声が届かないが、死んでいる俺にはお前らの声が届くのだから
​    静かにしてもらえないか?喧嘩なら上でしてくれ』
琴ノ緒『言いながら蹴るのやめろ、ほら怒られてんだろ、座れって!』
描成『そもそも貴方が変なこと言うから……すみません………(隅っこで正座)』
比与森『ごめんなさい……』
天城『醜い争いしててまじウケるんですけど』

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花柳玲子

「それじゃあこの血文字そのものも偽造?でも犯人が書いたなら、もっと

 ストレートに紅緑さんの名前を書けばいいはず…。もしかして、もともと

 黒羽さんが犯人を書いていて、それを誤魔化すために加筆したとか…?」

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花柳玲子

「だとしたら、もともとは何が書いてあったのかしらぁ」

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花柳玲子

「…この=の部分、他より血が多めについている気がするわぁ。

 …この順なら普通、右に行くにつれて文字が薄くなるはずよねぇ…

 …この文字を書くために、血を付けなおしたのかしら。

 だとしたらXTがもともとの文字?………う~んこれでもやっぱり意味不明」

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花柳玲子

「あ。けど、この文字、なんか違和感が…」

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糸色恋花

「ええと……それだと、掠れ、掠れ………溜まり……………あ!!」

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リリー

「………?どうしたのぉ?」

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糸色恋花

「……そもそもアルファベットとは違うんじゃないかしら」

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糸色恋花

「ダイイングメッセージのTの文字、横線が右から左へと流れているわ。

 …普通、Tの字ってまず左から右へ流す方に慣れてるんじゃないかしら。

 ……もしかして、私達がアルファベットの【T】だと思っていたものって、

 カタカナの【イ】だったりして」

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糸色恋花

「そうだとしたら、アルファベットの【X】の方もカタカナの……そうね、

 【メ】なのかしら。メイ…となると、この文字は本当は【メイド】って

 書こうとして力尽きてしまったのかも。……どうかしら?」

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遠雷紬

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花柳玲子

「……え」

「……あら」

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ユウヒ

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ユウヒ

「死に際ですから書き順が多少めちゃくちゃになっても

 おかしくないと思いますけどね〜」

「そう言われればメイに見えなくもありませんが〜

 こじつけですよ、こじつけ〜」

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ユウヒ

「事件の前に見たっていう男の人の方がよっぽど怪しいですよ〜

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​モノエル

「確かに、結局見知らぬ男Xの正体が分からないままでちね。

 そっちを先にはっきりさせないと、すっきりしましぇんねぇ」

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遠雷紬

 「……事件の数日前に…、夜に見た知らない男の人………。

 …ローブを着ていましたし、…暗くて顔までは見えませんでした。

 …でも、ローブに血がついてたので…もしかして、怪我していたかも…?」

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花柳玲子

「怪我ねぇ…でも、血が出るような怪我をした男なんていたかしら?」

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糸色恋花

保健室の記録にあるのは蹴っ飛ばされた心条さんくらいね…

 血が出るとは思えないけど」

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【保健室の利用記録】

見知らぬ男が見つかった次の日の利用記録。

遠雷:コップを落とした時に手を切った

黒羽:転んで膝をすりむいた

心条:蹴られた時乃打撲

花柳:タバコの火で火傷

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心条裁己

「あとは名簿もありましたが…千切れていましたね。

​ どうやら以前面屋敷さんの事件で見つけた、名簿の他の部分のようです」

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【千切れた名簿】

千切れた参加者の名簿。

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リリー

「…見知らぬ男が見つかった次の日、血が出るような怪我をしたのは

 紬ちゃんと麗ちゃんよね?」

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リリー

「2人とも女の子…なんだけど、名簿をよく見てほしいわ。

 この名簿、たしか才能の50音で男女別に並んでいたはずよ。

 ここ、黒羽さんの名前が書いてある…つまり、黒羽さんって……

 ってことよね…?」

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糸色恋花

「……………え………?は……?」

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心条裁己

「ほぉ」

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花柳玲子

「あらあらあら」

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​モノエル

「そうでしゅよ~黒羽麗しゃまは【】でしゅ!

 立派なブツで迷える子羊を食い散らかす狼だから、

 才能を剥奪されちゃったでしゅ!可愛い顔してても男の子でしゅねぇ~」

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​モノエル

「ま、皆しゃまが知らないのも無理ないでしゅ。

 だって【事件がおこるまで誰も知らなかった】んでしゅから」

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糸色恋花

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花柳玲子

茶渡利三沙3.png

茶渡利三沙

リリー.png

リリー

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花柳玲子

「は????????え??はぁああああ???」

「あー、なるほど?」

「未成年いるわよぉ。まあ今更インモラルもクソもないわねぇ」

「あらあらぁ~悪い子ちゃんだったのね~~ふふふっ」

描成『???????マ???』
毒桃『男…あれだけ可愛くて男……モデルとして自信が…』

「とにかく。……黒羽さんが男で、血が出る怪我をしていて、

 男が見つかった日の夜の行動も不明…つまり、見しらぬ男の正体は

 黒羽さんだったのねぇ」

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花柳玲子

「だとすれば、事件の日の夜に、普段と違う姿でうろついていた男…

 ダイイングメッセージのメイドにもあてはまるユウヒさんが、

 やっぱり一番怪しいってことになるわ」

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ユウヒ2.png

ユウヒ

「ユウヒは今までメイドとして誇りをもって生きて来ました〜。

 仕事だって完璧にこなしてきましたし〜ここに来てからだって

 それは変わりません〜」

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ユウヒ

「…それが。」

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ユウヒ2.png

ユウヒ

「それが、たまたま外に出てただけで犯人扱い?冗談じゃない。

 じゃあ俺を見かけたお前だって、なんでそんな時間に出歩いてたんだよ」

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ユウヒ

「血文字がメイに見える?たまたまだろ、俺なら才能名なんかじゃなくて、

 名前そのままを書くけどな」

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ユウヒ

「だいたい、見知らぬ男の正体が黒羽なら、結局犯行は誰でも可能だったって

 話になる。決定的な証拠もないのにいい加減なことを言うんじゃねえ」

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花柳玲子

糸色恋花2.png

糸色恋花

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ユウヒ

緑紅茶.png

紅緑茶

「短気は損気よぉ、チェリー」

「感情で捲したてるのはあまりオススメしないわよ」

「黙れ。自分の生死かかってんだぞ」

「確かにまぁ…結局誰でも犯行は可能、ってことには変わらんな。

 他に手がかりになりそうなのは…事件当日の朝の当番くらいか?」

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【炊事家事当番】

ここ数日の身の回りのことは参加者達がしていた。

身の安全のために必ず二人以上のペアで行動。

忙しいくせに写真は撮っていたらしい。

事件当日の行動

紅緑・リリー:ごみ捨て担当

花柳・糸色・遠雷:食事担当

心条:部屋で幽閉されていた

茶渡利・ユウヒ:洗濯物担当

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遠雷紬

「…すいません。この写真は、事件当日の朝に…

 死体が見つかる前の写真なんですよね?」

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遠雷紬

「あの、ユウヒさんのところ。…ユウヒさんが持ってるのは黒羽さんの

 ですよね?……それを、青い籠にいれている…隣の赤い籠に

 リリさんーや花柳さんや三沙の服が入っているのを考えると、

 青い籠は「男性用」の籠ですよね」

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「………黒羽さんが【男】だということは、この裁判で初めて知った

 情報だと思うんですけど、………どうしてこの時点で【黒羽さんが男】

 だって知ってたんですか?」

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「モノエルは【事件が起こるまで黒羽さんの性別を誰も知らなかった】と

 言っていました。…もっと前から知っていたというのは…ありえないです」

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ユウヒ

ユウヒ2.png

ユウヒ

「……………。」

「それは〜…うっかり〜、間違えただけで〜…………」

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ユウヒ

「ユウヒってばうっかりさん☆」

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「ユウヒさんは…誇りがある完璧主義の人だって、思っています。

 …私は、そんな初歩的なミスをする人だって思いません。

 あなたは黒羽さんを【男】だと知っていたからこそ、

 正しい性別の籠に入れたんですよね」

BREAK!!!

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​モノエル

「さぁさ容疑者も絞れたところで投票のお時間でしゅ」

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​モノエル

「クロだと思わしき人物に投票し、見事それが当たれば皆しゃまの勝利。

 もしクロを間違えれば、真犯人の勝利。

 皆しゃまの清き一票で明日が決まるでしゅよ」

​投票結果 ユウヒ(神庭勇真)

ドットユウヒ.png
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​モノエル

「投票結果は、元超高校級メイド【ユウヒ】…改め【神庭勇真】しゃま!

 さてはてこの結果は正しいのでしゅかね?」

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​モノエル

「ん~~~~………大正解!黒羽麗しゃまを黒幕と思い込んで殺したのは、

 そこの偽乳メイドでしゅ!!」

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ユウヒ

「まあそういう事でいいです〜。そうですし〜」

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ユウヒ

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「はぁ〜ご主人様見つけられなかったな〜」

「…ご主人様?」

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ユウヒ

「え?世界にたった1人のご主人様を作るのが夢だったので〜。

 今のご主人様は皆さまです〜♡」

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ユウヒ

「みんなはユウヒのお客様ですから〜だからご主人様なんです〜。

 これもリップサービスです〜」

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リリー

「…………残念だったわね。ユウヒちゃん。

 でも私はご主人様じゃないしねぇ~~ふふっ…」

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ユウヒ

「本物の従者になってみたかったな〜ってだけなので、気にしないで

 ください〜リリー先輩はリリー先輩なので〜」」

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リリー

「まぁ、ちゃんと先輩らしいこと出来たかは、不思議だけれどね

 …ふふっ……」

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​モノエル

「怪しい男が黒幕なんて誰も言ってないし、まったく無関係なのに

 騒ぎ立てて…情けないお兄ちゃんでしゅね、メイドとしても人としても

 情けないでしゅ」

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​モノエル

「ユウヒ…というのはお店での源氏名で、本名神庭勇真しゃまには

 妹しゃまがいるでしゅ。病弱な妹を楽しませるためになったお兄ちゃん、

 それがそこのメイドもどきなんでしゅよ」

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​モノエル

「女の恰好した野郎どもが勝手に事件になるなんて…

 妹しゃまは聞いたらどんな顔するでしゅかね。せっかく妹のために

 メイドになったのに、まさか兄が殺人鬼だなんて…」

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​モノエル

「女のメイドに負けた事実を受け入れない未練たらしい男の才能を

 信じたエルが馬鹿でちた」

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ユウヒ

ユウヒ2.png

ユウヒ

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糸色恋花

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ユウヒ

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リリー

「仕方ねぇだろ。ぽっと出のどこぞの馬とも知らねぇ女に

 俺の努力が奪われた!」

「キレるだろ普通に!俺は最高のお兄ちゃんでいなきゃいけない。

 絶対いつかあの女ぶっ殺してやる」

「……努力は否定するものじゃないわよ」

「努力は報われた。その報われた結晶をゴミ箱に捨てられた。

 それが認められなかっただけだ」

「…………まぁ、気持ちはわかるわ。急に出てきたヤツに全部奪われる

 なんて、我慢ならないものね…」

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ユウヒ

「ちなみに俺はお前らに一切言うことがない。悔いがないからな」

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ユウヒ

「ひとつ悔いがあるとすれば、最期に妹の顔が拝めないことだ。

 不甲斐ないぜ、まったく」

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ユウヒ

「はー、終わりだ終わり。スパッと終わらせてくれ」

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​モノエル

「結局貴方しゃまがしたことは、何の意味もない完全な無駄手間だった

 わけでしゅが、人生ってそんなものでしゅよね。来世でがんばって

 くだしゃい。ではでは、レッツカスタード、オシオキターイム!!」

おしおき連行画面 ユウヒ.png
オシオキユウヒ.png


連れてかれては仕方がない。
息を吸って、呼吸を整える。

何が起きても良いように。

ステージはどうやらいつものカフェ。
いつも通りの賑わいを見せている。

「何やってるでしゅか!早く注文をとるでしゅ!」

どうやらモノエルの接客中だったらしい。
いつも通り、「ご注文はお決まりですか?ご主人様♡」なんて口に馴染んだ言葉を吐く。

注文を受け取ればあとは簡単、要望に応えながら配膳するパフォーマンスを見せる。

モノエルから二重丸のプラカードが出てきた。
合格という意味なのだろう、これくらいお茶の子さいさいである。

内心、これくらいならさっさと終わらせてやる…! と思うも当たり前のように異変が起きた。

おしりから始まり、二の腕、太ももを、エキストラが いつの間にかこぞって触ってきたのだ。

最初はゾッと鳥肌ものだったものの、我慢し続けた。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……。
我慢、我慢、我慢…!

──無理だ!と思った時にはもう遅かった。
エキストラの鼻っ柱めがけて裏拳を放っていた。

1度やってしまえば感情も、体も止まることを知らない。
そうして、すべてのエキストラを殴り倒していた。

おそるおそるモノエルを見れば二重丸からバツに変わっていた。

それを認識した瞬間、
宙から無数の鋭い雨が降り注いだ。


肩に刺さり、太ももを貫く。

そして最後は見上げて無防備になっていた──喉を、


オシオキ完了

遺品ユウヒ.png

​遺品「ハートの髪飾り」

寄り添う真心の形を示した髪飾り。

彼が守りたかった愛も今やただの殺しの結果。

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リリー

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茶渡利三沙

花柳玲子2.png

花柳玲子

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糸色恋花

「……………………」

「……お疲れ様。」

「…………ハァ、相変わらず気分のわるい」

「……ああ、もう」

そうして、性別に翻弄された事件は幕を閉じ、皆は裁判上を後に―――。







その足がエレベーターに向かう前に、心条の声が響く。

「待ってください」

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心条裁己

chapter5-アー・ユー・レディ?-

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