chapter5-アー・ユー・レディ?-
chapter5-アー・ユー・レディ?裁判前編
並ぶモノクロの影が半分以上を覆う裁判上。
死んだのが一人だけなのは毒桃以来だ、今回は少ないな、とどこかでそう思っている者もいる。
人が死んだことに多いも少ないもないと言うのに、どこかでそれを受け入れてしまっている。
モノエル
「ほらほら、湿気た面してないで!
5回目の裁判、はりきってまいりましゅー!」
茶渡利三沙
「捜査中に見つけたけど、最初にここに来たときの記録があったよ。
事件に関係あるかわからないけど…」
【最初のお茶会の記録】
参加者が集まった一番最初のお茶会の記録。
花柳玲子
「そういえば、この施設にやって来た時、モノエルって『部屋が足りない』
って騒いでたことあったわよねぇ?」
ユウヒ
「そう言えばそんなことも〜」
花柳玲子
「糸色ちゃんが何日か前に『見知らぬ男』を見たらしいけどぉ……、
もしかしてその男のせいだったりするんじゃない?
参加者以外の『24人目』がここの中にいる…とか?」
紅緑茶
「24人目…?」
遠雷紬
「あの…男子更衣室にローブが置いてあったけど…あれ、あの夜に
見た男の人が着てたやつだったよ」
紅緑茶
「大浴場は電子手帳がないと入れなかったな」
【男子更衣室のローブ】
男子更衣室の籠の中にあったローブ。
遠雷が見た見知らぬ男のローブで間違いないようだ。
【大浴場】
男女別に分かれた浴場。
24時間いつでもはいれるが、入るには電子手帳が必要。
茶渡利三沙
「大浴場にその男のローブが置いてあったけれど、大浴場は電子手帳がないと
入れないな。 だったらそのローブを置けたのは参加者だけ。
謎の男はこの中にいる…ってことだと思うが、いかがだろうか?」
リリー
「………まぁ、普通に考えてそういうことになるでしょうねぇ…」
花柳玲子
「この中の誰かが見知らぬ男…?事件が起きた夜に私も見たことない男を
見たけれど、やっぱりその男が犯人なのかしらぁ」
花柳玲子
遠雷紬
リリー
「暗いし一瞬だったから顔までははっきり見えなかったけど、
背丈は大体私と同じくらいだったわ」
「背が一緒くらい…?」
「玲子と同じくらい…ってなると絞られそうよねぇ」
花柳玲子
「身長が私と同じくらいなのって、この中だとユウヒさんくらいよねぇ……
女装姿しか知らないし、あの日私が見た男ってもしかして
あなただったりする?」
ユウヒ
「確かに事件の夜で歩いてましたし〜、自分だとは思うんですけど、
さすがに寝る前までメイドの格好しているわけないじゃないですか〜。
それに、ユウヒは最初に見つかった『見知らぬ男』ではありませんよ〜」
リリー
糸色恋花
茶渡利三沙
「まぁ…証拠があるものね。ちびエルの巡回の記録に残っているもの」
「ユウヒさんはその時、心条さんと居た…と書いてあったわ」
「これはユウヒにアリバイがある…という事になるのかな?」
【巡回ちびエルの記録】
事件数日前に怪しい男を見かけた
夜の皆の行動を記録したもの。
糸色・茶渡利:食堂で茶を淹れていた
花柳・リリー:バーで酒盛り
ユウヒ・心条:心条をユウヒが世話してた。
その他:見かけておらず不明
紅緑茶
「最初に怪しい男を見たとき、ユウヒは心条とずっといた。
少なくとも【ユウヒが見知らぬ男じゃない】のは本当のことだろ」
モノエル
「つまり【事件前に遠雷しゃまが見た男】と【事件当日の夜に花柳しゃまが
見た男】は別人というわけでしゅね!
そもそも誰も同一人物なんて言ってましぇん」
花柳玲子
「それじゃあ事件前に遠雷ちゃんが見た男って、結局誰なのかしら。
他に手掛かりはなにかない?」
毒桃『夜に二人も怪しい男が出歩いてるのが問題でしょ…』
面屋敷『ん〜こわいこわぁい。』
リリー
「Xについての資料…ってのがあったわねぇ。見知らぬ男をXと仮名して
まとめられたようだけど、いつのまに用意したのかしらぁ」
糸色恋花
「んーと、あと現場には血文字が残っていましたね…黒羽さんの指も
血がついていたし、ダイイングメッセージだと思います」
【Xについての資料】
数日前に見られた男についてまとめられた真っ白な資料。
「ここ数日の間に目撃された見知らぬ男を仮に【X】と名付けるとする。糸色恋花が発見した彼は、ローブを羽織っており闇夜に消えていったらしい。現状に置いて最も怪しく、モノエルとの関係性が疑われる。…(以下文章が続いている)」
【ダイイングメッセージ】
黒羽の手元に残された血文字。
黒羽の指先には血がついており、文字の太さも指と一致。
花柳玲子
「見知らぬ男をXと呼ぶ…だとしたらこの血文字って「X=T」かしら。
見知らぬ男=T…ティー…って、紅緑さん?単純に考えて……だけれど」
天城『すんげーな あたしも書く時間ぐらいはあったっちゃ〜あったか。 全然思いつかなんだわ』
滑川『血文字、……わたしはちょっと無理だったかもな』
描成『ウッすみません……すみません……』
琴ノ緒『血文字なんか書けなくてもバレたんだから別にいいだろ』
メアリー『私は拘束されてましたねぇ』
面屋敷『(大袈裟に目を逸らす)』
比与森『…(琴ノ緒の足を踏んだ)』
琴ノ緒『いってえ!何すんだよ!』
滑川『場外で喧嘩するな』
メアリー『ここまでの野次、聞こえてないのが惜しいですねぇ]
紅緑茶
花柳玲子
「……でもそういえば、見知らぬ男を見た日の夜、紅緑さんってどこに
いたか分からないわよねぇ」
「…俺が疑われているようだな」
紅緑茶
「……まず言わせてもらうが」
紅緑茶
遠雷紬
「黒羽がそんな頭いいダイイングメッセージ残せるわけないだろ!
そもそもあいつは、俺のことをお茶ぴって呼んでいた」
「……そう言う問題?」
夜見塚『………お茶ぴ…』
琴ノ緒『お茶ぴ???????』
滑川『お茶ぴ……』
描成『お、お茶ぴ……』
比与森『お茶ぴ……?』
茶渡利三沙
「麗も酷い言われようだな…
お茶ぴ、お茶ぴ。私もこれからはそう呼んだ方がいいかい?」」
リリー
「お茶ぴ。可愛いわねぇ~~
私もそんな感じでこれから呼んでみようかしら~ふふっ」
紅緑茶
「…………お茶ぴについてはつっこむな、天国の黒羽に言え」
紅緑茶
「俺の事を示したいなら、Tだけを書けばいいだろ。
わざわざX=を残す意味がない」
紅緑茶
「俺はそんなローブ見たことない。
隠すとしたら自分の部屋に隠した方が確実だ」
糸色恋花
「言い分に理論立てはあるのでしょうけど言い出しに問題があるわ」
花柳玲子
「現場の状況を思い返すと…秘密の部屋で黒羽さんが壁に寄りかかってて…
血が広がっていたけど、全部乾ききっていたからかなり時間がたっていた
ようだったわ。資料と血文字も黒羽さんの遺体のすぐそばにあったわね」
【黒羽の死体】
秘密の部屋の壁に寄りかかるように亡くなっている。
死因は胸に刺されたナイフによる大量出血。
床に血が広がっているが、すっかり乾いている。
遠雷紬
「待ってください…このXの事が書かれた資料は、全く汚れていません。
でも現場で見つけた時、…これは血の上に落ちていました。
…この資料は、黒羽さんが死んで血が渇いた後に置かれたと思います。
…だから黒羽さんが見知らぬ男のことをXって言うのは知らないはずです」
遠雷紬
「……だから。……、…この資料は犯人がわざとここに置いたんです。
たぶん、紅緑さんが怪しい男だと誘導するために…」
紅緑茶
花柳玲子
茶渡利三沙
心条裁己
紅緑茶
「…なんか俺、濡れ衣着せられることが何度かあるんだが」
「う~ん、運が悪いわねぇとしか言えないわぁ」
「…元気を出せ、お茶ぴ」
「お茶ぴ……(ぼそっ」
「やかましい」