chapter3- 高き月見し夜想曲、
赤色讃美歌に口付けを-
chapter3-高き月見し夜想曲、
赤色讃美歌に口付けを-裁判中編
モノエル
「ん~でも事件現場に他に証拠はなさそうでしゅよ?
他に何かありまちたっけ?」
糸色恋花
「現場から離れたトラッシュルームに、血の跡のようなものはあったわね」
【血痕】
トラッシュルームの焼却炉の縁に残っていた血痕。
血のついた何かがかすれたような痕だ。
心条裁己
「あの血痕です、犯人はエリアスさんを刺した時に相当な返り血を
浴びたはず……その証拠品を始末しようとした痕跡ではありませんか?」
花柳玲子
「んー…………ぽい。けど、血痕だけじゃ本当に今回の件と関係があるって
断定できないわねぇ……。……私たち、鑑識ができるわけじゃあないし、
いつついた血なのかわからないものぉ」
夜見塚灰慈
「……」
糸色恋花
「えっと…12時頃かしら。遠雷さんとゴミを燃やしに行ったけど…
汚れとかは別に着いてなかったわね。終わった後は…ええ、
黒羽さんと三沙さんに誘われたの。教会で4人で女子会をしたわ」
黒羽麗
「うーん……12時の時点で血痕とか無かったんしょ?
てことは事件の時についたってことじゃね……?
誰かその時間にグーゼン怪我とかしてたら別だけどさ〜……」
黒羽麗
「エリぴっぴが部屋に戻ったのが12時15分くらいで〜
死体が見つかったのがえーと……20分?てことはさ、その5分で
なんやかんやしてトラッシュルーム行ったって事じゃね?」
モノエル
花柳玲子
花柳玲子
「死体発見時、間違いなく全員フェイしゃまの部屋に来まちたよ。
エルが全員いるか確認しまちたから!」
「全員集まったけれど……遅れてきた人はいたわねぇ。
なにかできるとしたら、その人たちってことになるのかしら」
「たしか遅かったのは……
紅緑さん、赤音さん、面屋敷さん、踊瀬さんの四人ねぇ」
黒羽麗
「うるは4番乗りぐらいだったね〜。4着うぇーい」
紅緑茶
「図書室に行って本を読んでいて…11時ごろに踊瀬と赤音がやってきたな。
集中して読んでたら、いつの間にか踊瀬は帰ったようで、赤音は寝てた。
そしたら死体発見のアナウンスが聞こえて、慌てて赤音を起こして
外に出たんだが…あいつ中々起きなかったな」
心条裁己
「わたしが遊技場にいたら、面屋敷さんがやってきたんです。
一緒にボードゲームをしていたところに、死体発見アナウンスが聞こえて
きました。そういえば、彼、熱を出していたんですが……
遊んでいて大丈夫だったんでしょうか?」
遠雷紬
「………………………………………………………っ、……………………」
遠雷紬
「………ゲホッ………、…ッ…」
遠雷紬
「…… っ……あの…、………、………踊瀬さん」
少女の声の代わりに言葉をつづっていた筆の音が止まる。
固く閉ざした唇が戦慄き、ひきつった息が漏れて必死に空気を手繰り寄せた。
それは、ここに来て初めての、彼女の『声』であった。
踊瀬舞円華
「…………、 ……なぁに?」
遠雷紬
「……………赤音さんは紅緑さんと…、面屋敷さんは…心条さんと、
アナウンスが……聞こえるまで一緒にいたから…隠す時間はありません
でした。とすると…遅れてきた中でアリバイが……ないのは…
踊瀬さん…あなたは…」
踊瀬舞円華
「…………。……うん、そうだね」
踊瀬舞円華
「…手間をかけさせてごめんね。……。
…うん、私が犯人。エリアスさんを殺してしまった犯人は、私なんだ」