深い底から見上げる景色。

不快な其処から眺める情景。

切り取られた空は遥か遠く、手を伸ばしても指先さえかすりはしない。

 

嗚呼、そこに、自分もそこへ行きたい。

このゴミ箱の底から外なる世界へ。

 

 

女子高生エ「ねぇねぇ見てこの記事。また新しい超高校級だってさ」

女子高生セ「またぁ？いくら政府公認って言っても、こんなにいちゃありがたみないわよねぇ」

女子高生ラ「今月のランキング見た？トップランカーは相変わらずあの人達だったよ」

きゃはははははは―――――

 

某会社が発売したゲームの影響により、「超高校級」の名は常識となるほどに浸透した世界。

いつしか「超高校級」の称号は政府公認の名誉となった世界。

超高校級を出した高校として名を売りたい学校、超高校級を採用したと意気込みたい企業…

様々な思惑が重なり、超高校級は瞬く間に急増した。

もはや世間は才能の飽和状態、超高校級は特別でもなんでもなくなっていた。

 

ほんの少し目立つだけで世間の玩具になるこのご時世。

超高校級も例外はなく、その典型的例が「いらない超高校級ランキング」だった。

本人たちの尊厳など一切顧みることなく、世間が勝手に作り上げた笑いのタネ。

人より優れたものを貶め嗤うことを楽しむ者は多く、名誉ある才能は汚点へと化していた。