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chapter5非日常編―最終回「ゴミバコロンパ」―
もうすぐ帰れる。
突如として訪れた解放の機会を、皆が耐え忍んでいた。
帰れると知った時の高揚、いやどうせまた裏切るんだろうという失望。
そしてそんな訃報を聞くことさえ敵わなかった犠牲者たちの無念。
そんな思いを抱えたまま、日が落ち月が昇る回数を指折り数える。
島を取り囲む海のさざ波と潮風に慣れ、肌を刺す日差しが眩い頃がすでに懐かしい。
ここへ来る前の、決して良いとは言えぬけれど平和であったあの世界へ、こんなにも切望している。
灰色に染まった海と空の境界線に、船が見える時を今か今かと待っていた。
「帰るまでの3日間、死体が発見されれば裁判決行」
モノホネの不吉の言葉に耳を傾ける、そんな馬鹿がいるはずがない。
6人まで減ってしまったこの人数をこれ以上減らす意味が、あるわけない。
誰もがそう思っていた。
そう、思っていたのに。
学校1階。
学校の中でも比較的使う頻度が高い教室が集まる一階は、それなりに生徒全員が使用していた。
万針集もその一人で、何の気なしに廊下を歩いていた。
ばさり
ふと、何かが落ちたような音が耳に入り足を止める。
それは図書室の方から聞こえてきたようだ。

万針集
…?なんか音した、ような…
誰かいるのか、並べ方の悪い本でも落ちたのか。
静かな部屋の扉をがらりと開くと、なにか不快な臭いが鼻をつく。
同時に視覚に訴えかけるような【それ】はあった。
【それ】を一目見た万針は、わかってしまった。
それが何を意味するのかを。

万針集
ぁ…嘘、でしょ…
反射的に踵を返し、誰かを呼ばねばならないと警鐘が頭に響く。
足がもつれそうになりながら、廊下を逆走する。
誰か。
誰か誰か誰か!!!

万針集
ッ、誰か!誰かいたら来てッ!!

砂六々子
っ……!?!?な、なんすか…!?

千夜よだか
…? な、何かありました…?!

万針集
ぁ、あの、図書室…!としょ、しつが…!

砂六々子
図書室…?は…はいっす、行くっす!

千夜よだか
と、図書室……?
今の万針にとって、すぐ近くで見知った顔と出会えたことがどれほどの安堵だったか。
ろれつの回らぬ言葉足らずのまま、二人の腕を引く姿は、普段の穏やかな彼からも想像もつかなかった。
血相を変えた万針の様子に、ただならぬものを感じた砂六々子と千夜よだかが後をついていく。
3人分の足音が廊下を騒がせ、図書室の前でぴたりと止まった。
なぜならそこには
人であったと思いたくない、誰かのなれの果てが転がっていたのだから。


砂六々子
うっ……うぇっ…

千夜よだか
ヒッ……ッ…
嘔気がこみ上げてくる臭いを放ち、どろりと皮膚が溶け落ちる。
輪郭が崩壊した顔は筋肉や骨をむき出しにし、空気に触れじわじわと黒ずんでいく。
まるで現実味がないに唐突な衝撃は、嗅覚がこれでもかと現実を叩きつけてきた。
騒ぎを聞きつけた他生徒も図書室前にかけつけ、同様に悲痛な反応をする。
そして無情な音が響き渡った。
『死体が発見されました。一定の捜査時間の後、『学級裁判』を開きます』

モノホネ
うぷぷ…うぷぷぷ!

モノホネ
やはり起きてしまいましたねぇ、新たな殺人事件!
どうやら皆様の中に『この番組を終わらせたくない』方が
おられるようで。

モノホネ
番組が終わったら困る人、このタイミングで殺しをしでかす人…
さぁて、それを人はなんと呼ぶのでしょう?

モノホネ
さ、こちらモノファイルをどうぞ。
おそらく最期になるので、じっくり読んでくださいね


砂六々子
な、んすか…、ホントに黒幕とかがいるっていうんすか…

万針集
ひ……っ
やっと助かると思った。
希望を容易く打ち砕くこれが絶望ならば、それを望む誰かがこの中にいる。
『黒幕』
全てはこいつの目論見か。
隣にいるこいつか?
いや向こうで動揺しているあいつか?
疑心暗鬼に蝕まれながら、それでも胸には希望の灯火が灯るだろうか。
はたまた、何でもいいから早く終わらせてほしいと涙の池が溜まるだろうか。
最期の幕が、開かれた。
「画面を見つめているのは誰でしょう。
彼らの転結を悲鳴をあげつつも笑みをこぼして凝視しているのは、貴方様でしょう?」
「ねぇ、液晶の向こうの、貴方様」

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