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chapter5非日常編―最終回「ゴミバコロンパ」―
もうすぐ帰れる。
突如として訪れた解放の機会を、皆が耐え忍んでいた。
帰れると知った時の高揚、いやどうせまた裏切るんだろうという失望。
そしてそんな訃報を聞くことさえ敵わなかった犠牲者たちの無念。
そんな思いを抱えたまま、日が落ち月が昇る回数を指折り数える。
島を取り囲む海のさざ波と潮風に慣れ、肌を刺す日差しが眩い頃がすでに懐かしい。
ここへ来る前の、決して良いとは言えぬけれど平和であったあの世界へ、こんなにも切望している。
灰色に染まった海と空の境界線に、船が見える時を今か今かと待っていた。
「帰るまでの3日間、死体が発見されれば裁判決行」
モノホネの不吉の言葉に耳を傾ける、そんな馬鹿がいるはずがない。
6人まで減ってしまったこの人数をこれ以上減らす意味が、あるわけない。
誰もがそう思っていた。
そう、思っていたのに。
学校1階。
学校の中でも比較的使う頻度が高い教室が集まる一階は、それなりに生徒全員が使用していた。
万針集もその一人で、何の気なしに廊下を歩いていた。
ばさり
ふと、何かが落ちたような音が耳に入り足を止める。
それは図書室の方から聞こえてきたようだ。
![xlDSVRXU_400x400.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_040f7c12ebd74152824bab4759ada3b4~mv2.jpg/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/xlDSVRXU_400x400.jpg)
万針集
…?なんか音した、ような…
誰かいるのか、並べ方の悪い本でも落ちたのか。
静かな部屋の扉をがらりと開くと、なにか不快な臭いが鼻をつく。
同時に視覚に訴えかけるような【それ】はあった。
【それ】を一目見た万針は、わかってしまった。
それが何を意味するのかを。
![万針集 7.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e3be733bb44415aa0a829d8dd567448~mv2.jpg/v1/crop/x_0,y_14,w_289,h_289/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E4%B8%87%E9%87%9D%E9%9B%86%207.jpg)
万針集
ぁ…嘘、でしょ…
反射的に踵を返し、誰かを呼ばねばならないと警鐘が頭に響く。
足がもつれそうになりながら、廊下を逆走する。
誰か。
誰か誰か誰か!!!
![万針集 7.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e3be733bb44415aa0a829d8dd567448~mv2.jpg/v1/crop/x_0,y_14,w_289,h_289/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E4%B8%87%E9%87%9D%E9%9B%86%207.jpg)
万針集
ッ、誰か!誰かいたら来てッ!!
![gomuko.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_cf02cae2568246c993e63fe9a9b16e54~mv2.jpg/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/gomuko.jpg)
砂六々子
っ……!?!?な、なんすか…!?
![D9v2l3ZU8AA8Gvd.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_c1012a96836c4f9a80c5bc36757528e9~mv2.jpg/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/D9v2l3ZU8AA8Gvd.jpg)
千夜よだか
…? な、何かありました…?!
![万針集 7.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e3be733bb44415aa0a829d8dd567448~mv2.jpg/v1/crop/x_0,y_14,w_289,h_289/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E4%B8%87%E9%87%9D%E9%9B%86%207.jpg)
万針集
ぁ、あの、図書室…!としょ、しつが…!
![gomuko.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_cf02cae2568246c993e63fe9a9b16e54~mv2.jpg/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/gomuko.jpg)
砂六々子
図書室…?は…はいっす、行くっす!
![D9v2l3ZU8AA8Gvd.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_c1012a96836c4f9a80c5bc36757528e9~mv2.jpg/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/D9v2l3ZU8AA8Gvd.jpg)
千夜よだか
と、図書室……?
今の万針にとって、すぐ近くで見知った顔と出会えたことがどれほどの安堵だったか。
ろれつの回らぬ言葉足らずのまま、二人の腕を引く姿は、普段の穏やかな彼からも想像もつかなかった。
血相を変えた万針の様子に、ただならぬものを感じた砂六々子と千夜よだかが後をついていく。
3人分の足音が廊下を騒がせ、図書室の前でぴたりと止まった。
なぜならそこには
人であったと思いたくない、誰かのなれの果てが転がっていたのだから。
![5章死体絵.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_b91c05a9d0fb4b7d919906335c41e2be~mv2.png/v1/fill/w_89,h_59,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/%EF%BC%95%E7%AB%A0%E6%AD%BB%E4%BD%93%E7%B5%B5.png)
![砂六々子泣き](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e91c8d55d5d4782927228fcdbcb0787~mv2.png/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E7%A0%82%E5%85%AD%E3%80%85%E5%AD%90%E6%B3%A3%E3%81%8D.png)
砂六々子
うっ……うぇっ…
![千夜よだか](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_bff8f96ea5304fe28dd5f749be877347~mv2.png/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E5%8D%83%E5%A4%9C%E3%82%88%E3%81%A0%E3%81%8B.png)
千夜よだか
ヒッ……ッ…
嘔気がこみ上げてくる臭いを放ち、どろりと皮膚が溶け落ちる。
輪郭が崩壊した顔は筋肉や骨をむき出しにし、空気に触れじわじわと黒ずんでいく。
まるで現実味がないに唐突な衝撃は、嗅覚がこれでもかと現実を叩きつけてきた。
騒ぎを聞きつけた他生徒も図書室前にかけつけ、同様に悲痛な反応をする。
そして無情な音が響き渡った。
『死体が発見されました。一定の捜査時間の後、『学級裁判』を開きます』
![反論モノホネ - コピー.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_7950457f75b944eca56a6f5a0ed83194~mv2.png/v1/crop/x_0,y_21,w_500,h_471/fill/w_44,h_41,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E5%8F%8D%E8%AB%96%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%8D%20-%20%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.png)
モノホネ
うぷぷ…うぷぷぷ!
![反論モノホネ - コピー.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_7950457f75b944eca56a6f5a0ed83194~mv2.png/v1/crop/x_0,y_21,w_500,h_471/fill/w_44,h_41,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E5%8F%8D%E8%AB%96%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%8D%20-%20%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.png)
モノホネ
やはり起きてしまいましたねぇ、新たな殺人事件!
どうやら皆様の中に『この番組を終わらせたくない』方が
おられるようで。
![反論モノホネ - コピー.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_7950457f75b944eca56a6f5a0ed83194~mv2.png/v1/crop/x_0,y_21,w_500,h_471/fill/w_44,h_41,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E5%8F%8D%E8%AB%96%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%8D%20-%20%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.png)
モノホネ
番組が終わったら困る人、このタイミングで殺しをしでかす人…
さぁて、それを人はなんと呼ぶのでしょう?
![反論モノホネ - コピー.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_7950457f75b944eca56a6f5a0ed83194~mv2.png/v1/crop/x_0,y_21,w_500,h_471/fill/w_44,h_41,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E5%8F%8D%E8%AB%96%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%8D%20-%20%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.png)
モノホネ
さ、こちらモノファイルをどうぞ。
おそらく最期になるので、じっくり読んでくださいね
![モノホネファイル5章.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_28d10edbb0114213ba985e57fbc7c57b~mv2.png/v1/fill/w_100,h_75,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%8D%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%EF%BC%95%E7%AB%A0.png)
![砂六々子泣き](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e91c8d55d5d4782927228fcdbcb0787~mv2.png/v1/fill/w_44,h_44,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E7%A0%82%E5%85%AD%E3%80%85%E5%AD%90%E6%B3%A3%E3%81%8D.png)
砂六々子
な、んすか…、ホントに黒幕とかがいるっていうんすか…
![万針集 7.jpg](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_0e3be733bb44415aa0a829d8dd567448~mv2.jpg/v1/crop/x_0,y_14,w_289,h_289/fill/w_44,h_44,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_3,enc_auto/%E4%B8%87%E9%87%9D%E9%9B%86%207.jpg)
万針集
ひ……っ
やっと助かると思った。
希望を容易く打ち砕くこれが絶望ならば、それを望む誰かがこの中にいる。
『黒幕』
全てはこいつの目論見か。
隣にいるこいつか?
いや向こうで動揺しているあいつか?
疑心暗鬼に蝕まれながら、それでも胸には希望の灯火が灯るだろうか。
はたまた、何でもいいから早く終わらせてほしいと涙の池が溜まるだろうか。
最期の幕が、開かれた。
「画面を見つめているのは誰でしょう。
彼らの転結を悲鳴をあげつつも笑みをこぼして凝視しているのは、貴方様でしょう?」
「ねぇ、液晶の向こうの、貴方様」
![遺品7.png](https://static.wixstatic.com/media/e4d93a_980c97c6d5cd437185adf231dd98665a~mv2.png/v1/fill/w_56,h_43,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/%E9%81%BA%E5%93%817.png)
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