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chapter5裁判編―最終回「ゴミバコロンパ」―⑥
……。
…………………。
巨大な槌が千夜よだかを貫く寸前、床が抜け底へと彼は消えていった。
原作のオマージュか?演出か?アクシデントか?

モノホネ
……………は?
この島に来て初めて、芝居がかってない骨の声を聞いた気がした。
この現状が、彼にも予想だにしなかったことなのだと明白に語った瞬間だった。

モノホネ
なぜ、何故ですか。何故システムエラーなんて起きるのですか?

モノホネ
私達の作ったシステムはあんなにも完璧だったのに

モノホネ
まだ外部からの侵入も全てブロックしているのに、どうして
ぶつぶつと呟くモノホネのそれは、独り言というよりもスピーカーのようであった。
多人数の声がモノホネの形をした機械から無作為に流れてくるように、
そこに何人もの人間がいるかのようにモノホネは呟いていた。
貴方達の脳裏には、一つ可能性がよぎった。
オシオキシステムのエラー、制御システムのダウン、ここ数日のしわ寄せの電力不足。
そうなった原因を、貴方達は知っている。
以前にも似たようなことがあったから。
それで人が一人、いや二人犠牲になったのだから。

モノホネ
ああまったく、本当に…余計なことをしてくれましたね、
夏露島陽向っ…!
静かに、しかし明白な苛立ちを孕んだ声でモノホネが唸った。
あの吹雪の夜、暗闇に包まれた島内の凍える寒さを思い出す。
夏露島陽向がおこした停電は、島の制御システムの破損が原因だ。
その余波がこんなところまで響くなど、モノホネも想定外だったのだろう。

モノホネ
全スケルトンへの指令を上書きします。逃亡者を追いなさい
モノホネの号令に伴って、がしゃりと音を立てる骸骨の数も随分と減っている。
あれらにまわすほど電力に余裕がないのは本当のようだ。
しばらく頭をぐらぐらと振り、何か考える素振りをしたのちに振り返る。
いつもの、素敵に邪悪で薄気味悪い笑顔だった。

モノホネ
ハプニングがありましたが、これにて此度の裁判は終了です。
さ、撤収撤収。は何がなんだか、貴方達もわかっていないでしょう?かえって休んだ方がいいですよ
休めるものならね、と語尾についている気がした。
脱力感と困惑に頭を抱え、それでもこれ以上裁判場に残る意味を感じられず、エレベーターに足を運ぶ。

万針集
説明は、何もないわけ…?

神楽坂棗
あんた達…一体何者なの…?

砂六々子
あのひとは…誰だったんすか…?
脱力感と困惑に頭を抱え、それでもこれ以上裁判場に残る意味を感じられず、エレベーターに足を運ぶ。
5人に減ったとは言え、死亡したとは限らないのが唯一の救いだろうか。
重低音を響かせて、重力に逆らって登っていく箱の中で貴方達は深くため息をついた。
なんだかとても疲れたような気がする。
距離にしてそう大したことはなくても、気持ちとしては相当な時間揺られていた。
ようやく振動と共に動きが止まり、古めかしい格子状の扉が開き光が差し込んでくる。
体育館に一歩、足を踏み入れた時だ。
10人。
水叉夜紗。
芦名秘。
喪々部千端。
御灯舞。
赤羽望美。
御先丹道蔵。
夜亡墓場。
鈴乃メアリー。
板張硝子。
夏露島陽向。
見知った懐かしき、はるか遠くにも感じるつい最近まで隣にいた彼らが、目の前にいる。

御先丹道蔵
……!「ええっと……皆さんお久し振りです。

夜亡墓場
………な、に?

芦名秘
………………ここは…

砂六々子
……ぁえ?

万針集
ぇ…なん、で……?

赤羽望美
....えっ、?なんで、あたし....
