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*番組録画はPC版でご覧ください
閑話休題―納涼!肝試し― 貴花比嘉編
エントランスホール
各々が懐中電灯片手に校舎内へ足を踏み込む中、開始からしばらくたつというのに
未だにエントランスホールに明かりが1つ残されていた。

貴花比嘉
俺は動かないぞ…別に幽霊なぞ知ったことじゃない…。
うろうろと不審な挙動でライトの軌道を迷わせる貴花比嘉は、誰と行動するでもなく一人残っていた。
決してぼっちではない。断じて違う、彼は孤高を愛する男なのだ。
怖いから一緒に行こうと言えるわけない、など無駄に高いプライドが邪魔をしたのでもない。

モノホネ
おんやぁ~~?貴花様、お一人様肝試しですか?
うぷぷ…戦争を愛するお方が、まさかおばけが怖いなんて
ありませんよねぇ?

貴花比嘉
チッ………稚拙な悪口だな。そんなの痛くも痒くもない。
…しかし、暇だから多少はどんな仕掛けがされえるのか見てやるか…。
多目的トイレ
女子トイレや職員室の階段は数あれど、多目的トイレ限定の怪談などそうそうあるものではない。
…などという打算など全くない、貴花は手っ取り早く近くのトイレを覗いた。
広めのスペースが、今の状況ではぽっかりあいた闇を生み出している。
棚の中やゴミ箱の中まで照らしてみるが、めぼしいものは見当たらない。
暗闇の中だと、備蓄のトイレットペーパーでさえ怖く見えてくる。
何も変化のない光景に、ほっと貴花はため息を1つ吐いた。

モノホネ
ばぁーーー!!!!

貴花比嘉
うわあああぁぁっっ!!!!?!!!
背中に思いっきりモノホネがとびかかりながら出した声に、驚きすぎて持っていたライトが落ちた。
悲鳴と落下音が狭いトイレに反響し、その音に更に悲鳴をあげた。
荒い息をなんとか落ち着かせ、肩で息をしながらぎろりと足元のモノホネをにらむ。
『さまよう骸骨』

貴花比嘉
……おい、やめろ骨、馬鹿にしているのか。

モノホネ
すごんでも可愛い悲鳴は取り消せませんよ、うぷぷ…
戦争なんて物騒なものが好きなわりには、ホラーは苦手で??この七不思議がひとつ『さまよう骸骨』に出会えてラッキーと黄色い声を上げてほしいものですねぇ。

貴花比嘉
今のは恐怖ではなく驚きから出た声だ。
…死んだ人間が動くなんて気味が悪いだろ。
お前の体の構造や仕組みには惹かれるものがあるが
それ以外は別に興味ない。

モノホネ
おやおやおや、そうですかぁ♪
そういうことにしておいてあげますよ。

貴花比嘉
これも七不思議なのか?釈然としないが印と やらを受け取ろうか。

モノホネ
はいはい、皆様には内緒にしといてあげますよ。
さ、このスタンプをお持ちください。
どこからか取り出したのか、手作りらしい芋版を取り出しぺたんと紙に押し付ける。
やけに可愛らしくデフォルメされたモノホネのスタンプに、貴花はあからさまな舌打ちをして
受け取り懐にしまい込む。
『さまよう骸骨』の印を手に入れた!
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